オフショア投資は高利回りや豪華なボーナなどの特徴がありますが、どうしても不安を感じる方が多いようです。
特にオフショア投資は銀行や証券会社で販売されている投資信託などと異なり、情報も少なくリスクが大きくなりがちで、想定外の損失を受けて失敗する事例もあります。
しかしオフショア投資そのものは優秀な商品が多く、ポイントしっかり理解しておけば失敗する確率を下げることが可能です。
そこで本記事では、オフショア投資における失敗事例をもとに、失敗しないための方法を5つのポイントを紹介していきます。
オフショア投資に興味はあるけど、どうしても不安が拭えない方、必見です!
オフショア投資の失敗事例4選
まずはオフショア投資における典型的な失敗事例を4つ挙げてみます。
- IFAや紹介者と連絡が取れなくなる
- 満期を待たずに解約
- 為替リスクを理解していなかった
- 「オフショア投資は節税対策になる」と思って契約、しかし…
それでは以下で詳しく見ていきます。
IFAや紹介者と連絡が取れなくなる
IFAとはIndependent Financial Adviserの頭文字をとったもので、日本語では独立系ファイナンシャル・アドバイザーといいます。
実はオフショア投資の多くは直接金融機関と契約するのではなく、このIFAを通すことが一般的です。
しかしオフショア投資の多くは日本の金融庁に認可されておらず、国内で活動するIFAは商品の取り扱いをすることができません。
そのためオフショア投資を行う際は、香港やシンガポールなどに在籍するIFAを通して契約することになります。
ではどのようにして海外のIFAと契約するのでしょうか?
このように国内で海外のIFAとパイプがある「紹介者」を経由し、IFAを紹介してもらい契約する流れが基本です。
そして紹介者の仕事はただIFAに繋ぐだけではなく、商品概要の説明や契約手続きなど多岐にわたります。
ここで重要なのは、オフショア投資を始めた後のフォロー体制です。
実は紹介者の中には、契約をするまではとても親切に対応してくれたが契約後に態度が一変し最悪の場合、連絡が取れなくなってしまうこともあります。
筆者もオフショア投資にいくつか投資していますが、紹介者選びには苦労しました。今では担当の方と契約後でも定期的にお会いさせて頂き、ポートフォリオの見直しなど相談にのっていただいています。
このようにオフショア投資では、投資先をどこにするかも大切ですが、仲介を行う紹介者の選び方はもっと重要です。
筆者も念には念をということで、担当の紹介者の方の連絡先だけではなく、法人として活動していることを確認し会社の連絡先まで伺っています。
仮に担当者と連絡が取れなくなっても、会社に直接連絡すればいいですからね。
なおオフショア投資の種類によっては、契約後に付与されるマイページから直接金融機関と連絡を取ることも可能です。
ただしオフショア投資ということで、日本語に対応していない案件もあるため、なるべく日本語対応をしてくれる投資先を選ぶようにしておきましょう。
満期を待たずに解約
オフショア投資の中でも積立型の投資案件は、若い世代の方々には人気の投資商品となっています。
毎月1~2万円前後からでも積み立てが行えるため、まとまった大きな金額がなくても気軽に投資ができ多くの投資家を惹きつけています。
ただしオフショア投資における積立型の投資商品は、最初に決めた契約期間を待たずに積立金額を変更、または途中で積み立てを停止などしてしまうと、大きな失敗となる可能性があります。
たとえばオフショア投資のインベスターズトラスト(ITA、investors trust)のマイページには以下のような注意書きがされています。
上記画像の赤線の部分には「ロイヤルティボーナスは、猶予期間内の拠出金支払いがあり、減額及び一部解約がない場合のみ適用されます」と書かれています。
これがどういうことかを説明する前に、まずはインベスターズトラストのロイヤリティボーナスについて説明します。
こちらはインベスターズトラストが提供するevolutionのロイヤリティボーナスの詳細です。
ロイヤリティボーナスとは、積立金額に対して定期的に付与されるボーナスで、evolutionの場合は積み立て開始から10年で積立金額に対し7.5%のボーナスが付与されます。(その後15年、20年、25年も付与される)
しかしこのロイヤリティボーナスは、注意書きに書かれている通り、たとえばevolutionを20年の積立期間で契約し、積立開始から2年で積立金額を減額もしくは一部解約をしてしまうと付与されなくなってしまいます。
もちろん途中で積立金額の減額または一部解約をしたからといって、利回りが下がるということはありません。しかしロイヤリティボーナスが無くなれば、オフショア投資の旨味が減り一般的な投資信託と変わらなくなってしまいます。
またインベスターズトラストのS&P500インデックスという商品は、ロイヤリティボーナスに加えて元本確保という特徴があります。
しかしこちらも契約時に決めた積立金額と積立期間を守らないと、元本確保がされなくなってしまうのです。
オフショア投資にはこのような注意点があるにも関わらず、契約時に紹介者から説明を詳しく受けておらず失敗してしまう事例も目立ちます。
中には「契約開始から2年は頑張って積み立てを行いましょう」といい、無理な金額で積み立てをさせて途中で減額すればいいという紹介者もいます。
このようにオフショア投資を短期間で解約してしまうと、旨味が得られず結果として大きな損失を受けて失敗する可能性があることを理解しておきましょう。
為替リスクを理解していなかった
オフショア投資の投資対象のほとんどは海外です。
海外に投資を行う際、当然日本円では投資できないため「日本円から外貨に両替を行う」作業が発生します。
また逆もしかりで、海外で運用したお金を日本円に戻す際も両替を行う必要があります。
そしてオフショア投資は利回りの高さやボーナスばかりに気を取られていると、両替作業による為替リスクを見落として失敗してしまうこともあるのです。
例を出して考えてみます。
オフショア投資Aに投資を行う人がいて、毎月3万円で20年間契約したとしましょう。この際、利回りについては年5%と仮定しておきます。
この時、為替リスクを無視すれば20年間の積立金額は720万円に対し、年5%の運用により総資産は1,233万円まで膨れ上がります。利益は513万円(1,233万円−720万円)ということですね。
ではこのオフショア投資Aで得た利益513万円が丸々受け取れるかというと、そうではありません。
ここで注意すべきは積み立てを行った時の平均為替レートと、利益確定で日本円に戻す際の為替レートを確認しておくことです。
たとえば20年間の積立時の平均為替レートが1米ドル=110円としておきます。そして満期になり日本円に戻す際の為替レートが1米ドル=100円としましょう。
この時、積立時の平均為替レート1米ドル=110円に対し、満期時の為替レートが1米ドル=100円と10円の円高となりました。
つまり単純計算ではありますが、満期時に受け取れるはずであった1,233万円のマイナス10%である、約1,109万円まで評価額が下がってしまうのです。
海外に投資する場合は、オフショア投資でなくてもこの為替リスクは常に受けるため、最悪の場合は日本円換算で利益が出ていても為替の変動によりマイナスになるということもありえます。
このあたりについては、オフショア投資の宿命といいますか、受け入れなければならない事実ともいえますね。
「オフショア投資は節税対策になる」と思って契約、しかし…
オフショア投資の「オフショア」とは、金融業界におてい「租税環境の優遇国あるいは優遇地域」のことを指します。
ここでオフショア投資をすれば、投資家側も税制面で優遇されると思う方もいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。
税制面で優遇されるのは投資家側ではなくオフショア地域に拠点を置く金融機関です。
日本に住んでいてオフショア地域に投資をし、日本国内に資産を戻す際は課税対象となることを理解しておきましょう。
なおオフショア投資で得た利益に対しては、20.315%の申告分離課税または雑所得として他の所得と合算される総合課税が適用されます。
どちらの課税方式になるかは、投資対象や特徴などからお住まいの地域を管轄する税務署の判断によって別れます。
オフショア投資とはいえども、日本に住んでいる限り確定申告を行い、必ず納税しなければならないことを覚えておきましょう。
オフショア投資で失敗しないための5つのポイント
ここまでオフショア投資における失敗事例を4つ紹介しましたが、以下ではこれらを踏まえて失敗しないためのポイントを5つにまとめてみました。
- 紹介者の言葉を鵜呑みにしない
- 積立型商品の場合は無理ない金額で契約
- 投資対象の金融ライセンスの有無の確認
- 手数料は細かくチェック
- どのような投資でもリスクはあると理解する
それでは以下で詳しく解説していきます。
紹介者の言葉を鵜呑みにしない
金融知識に自信がない方にとっては、少しハードルは高いですが紹介者のいうことを鵜呑みにしないようにしましょう。
たとえば先ほど触れた積立型の投資商品について「契約開始から2年は頑張って積み立てを行いましょう」といってくる方もいらっしゃいます。
これは投資家側の目線ではなく、あくまで彼らの利益に繋がるためこのようにいってきます。
なぜならば、彼らは積立金額に対して運営機関から紹介フィーがもらえる仕組みとなっているためです。特に契約開始から最初の2年間は、紹介フィーが高いことが多く、なるべく高い積立金額に設定するように促してきます。
このような投資家目線ではなく、自分たちの利益しか考えない方がいるのは残念なことです。
ただ中にはこちら側の立場にたって、最適な投資プランを考えてくれる紹介者もいらっしゃいます。このような優秀な方を見抜くためのポイントとしては、金融系の資格などを持っているかや法人の所属していることを確認してみるといいでしょう。
たとえばファイナンシャル・プランナーや証券外務員などの資格があるのが理想です。なおファイナンシャル・プランナーの資格を確認する際に注意点があります。
それはファイナンシャル・プランナーという資格は1〜3級があり、AFPやCFPというジャンルもあり、それぞれ難易度は異なります。
特に3級については、難易度はそれほど高くなく、筆者も学生時代に2週間ほど勉強して取得できました。3級が意味を持たない、とまではいいませんがオフショア投資の紹介者としては、少し物足りなさを感じます。
また併せて法人として紹介業をされていることも確認しておくといいでしょう。
法人として活動していれば、個人で活動するよりも責任を持って真摯に対応してくれる可能性も高く、仮にいい加減な対応をした場合、法人にクレームを入れることもできますからね。
個人で活動する紹介者がダメ、とまではいいませんが可能であれば法人で活動する方に紹介して頂いた方が安心できるでしょう。
積立型商品の場合は無理ない金額で契約
こちらは先ほどの失敗事例の部分で触れましたが、積立型のオフショア投資に投じる際は、無理のない積立金額で始めましょう。
繰り返しになりますが、オフショア投資における積立型の投資案件は、契約途中に積立金額の減額または一部解約をしてしまうと、ボーナスなどのメリットが享受できなくなります。
しかし途中で増額する場合には、このようなペナルティはありませんので、まずは無理のない金額で始めて、余裕が出てくれば増額するようにしておきましょう。
投資対象の金融ライセンスの有無の確認
オフショア投資のほとんどは、日本の金融庁に認可されていません。
そこで投資をする前に必ずチェックをして頂きたいことが、オフショア投資が拠点を置く国または地域の金融ライセンスを取得しているかです。
上記の画像はオフショア投資の1つである、インベスターズトラスト社の金融ライセンスについての記載です。
こちらを確認すると、インベスターズトラスト社は本拠を置くケイマン諸島金融当局にてライセンスを取得していることがわかります。
さらにインベスターズトラスト社はケイマン諸島以外にも、マレーシアのラブアン金融サービス局(ラブアンFSA)、プエルトリコ金融当局、ドバイ国際金融センター(DIFC)のそれぞれライセンスを取得しています。
確かにケイマン諸島は日本人には馴染みの島ですが、こちらはイギリスの領土で、パナマ文書問題が発覚してからケイマン諸島金融当局の規制はかなり厳しくなっています。
ケイマン諸島は租税回避地(タックスヘイブン)と言われ続けてきましたが、今では規制が厳しくなっています。
実際にケイマン諸島で金融ライセンスを取得するためには、以下の要件を全てクリアする必要があります。
- 1年に1回は外部による監査を実施
- コンプライアンス証明を毎年提出
- 企業情報の変更の届け出
- 内部管理体制の開示
- 月次取引明細の提出
- 決算書の提出
こちらはケイマン諸島にて金融ライセンスを取得するための一部要件です。最近の会社運営で注目されるコンプライアンスの部分も、ケイマン諸島の金融当局は厳しく監視をしています。
つまり日本の金融庁に認可されていなくても、拠点を置く地域の金融当局から認可されていることは、十分に信頼性は担保されているいえます。
このように、オフショア投資を行う上で拠点を置く国や地域にて金融ライセンスを取得しているかは、必ず確認しておくといいでしょう。
また金融ライセンス以外にも、格付け専門会社による格付けを受けているかもチェックポイントになります。
ちなみにインベスターズトラスト社は、保険専門会社A.M.Best社からA-の格付けを受けています。このA-は、日本明治安田生命と同じ格付けとなります。
なおインベスターズトラストについては、別ページで詳しく書いています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
>>インベスターズトラスト(ITA)を徹底解剖! 元本確保って本当なのか?
手数料は細かくチェック
どのような投資でもいえることですが、利回りやリスク以外にも必ず手数料をしっかり把握しておきましょう。
たとえばある投資商品の利回りが年間10%だとして、この商品の手数料が年間7%もかかるとすると、実質的な利回りは3%となってしまいます。
またオフショア投資については、一般的に販売されている投資信託に比べ手数料が高くなるケースがあります。
具体的に手数料を見ていくためにオフショア投資の一つであるRL360°(ロイヤルロンドン)の手数料を確認してみましょう。
- 初期口座手数料:積立期間中0.50%/月
- 契約維持手数料:
初期口座と貯蓄口座より0.125%/月 - 固定契約費用:貯蓄口座より775円/月
- アドバイザー手数料:
初期口座期間終了後より0.1%/年
ざっくりとした計算ですが、上記のRL360°の場合、年間で7.5〜8%の手数料が発生します。
国内の投資信託の手数料が年1%前後ですので、これらと比較すると手数料の種類が多くその割合も高いことが伺えますよね。
この点については、どのようなオフショア投資も手数料が高い傾向があるため理解しておく必要があるでしょう。
ただしRL360°もインベスターズトラスト同様に、スターターボーナスという制度があるため、これらの手数料は実質的にはもう少し抑えられます。
手数料のチェックは、その割合だけではなく、ボーナスなどで相殺した実質的な数字をチェックしておきましょう。
なおRL360°についても以下のページで詳しく書いています。より詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
>>RL360°(ロイヤルロンドン)を徹底検証! 会社概要や商品について詳しく解説
どのような投資でもリスクはあると理解する
引用:投資信託協会
リスクとリターンは表裏一体の関係で、高いリターンを求めるほどリスクは大きくなります。
よく投資を行う際に「この投資は絶対大丈夫ですよね?」と質問される方がいらっしゃいますが、そもそも投資において「絶対」はないのです。
投資とは、将来何が起きるかわからない「不確実性」に投じるわけですので、5年後10年後に投資対象がどうなるかなど誰にもわかりません。
オフショア投資の魅力は高いリターンですが、この裏にはリスクがあることを理解しておきましょう。
ただしオフショア投資だからといってリスクが高いとまではいえません。
たとえばアメリカの株価指数であるS&P500に投資する商品があるとします。
これをオフショア投資で行う場合と、日本の証券会社を通じて行う場合では、投資対象が同じのためリスクは同じですよね。
何が違うのかといえば、オフショア投資では海外に直接投資することができますが、日本の金融機関を通す場合、その金融機関から為替手数料などが抜かれます。
たとえ同じ7%の利回りであっても、オフショア投資に比べて日本の金融機関では手数料が発生するため実質的な利回りは低くなってしまうということですね。
この点を踏まえれば、極端に透明性などを気にしなければオフショア投資は手数料を安く抑えられるため、効率的な資産運用が実現できるということになります。
リスクを理解しておけば失敗はない
投資における失敗のほとんどは、契約前にリスクを理解しなかったことにより起きるものです。
先述させて頂いたオフショア投資のリスクをしっかり理解し、それが自分に許容できるのかを確認の上、投資をするようにしましょう。
なおオフショア投資そのものは危険ではなく、これに投資をしたからといって失敗するわけではないことは理解してください。
そもそもオフショア投資が危険、といわれる理由は日本の金融庁が認可していないことが大きな要因かと思われます。
では金融庁が認可していないから、投資することが違法かというとそうではありません。あくまで自ら選んでオフショア投資をすることに対しては規制はないのです。
ただしオフショア投資の運営元が日本国内で広告、営業活動を行うことはできません。そのためオフショア投資は運営元と直接契約をせずに、間にIFAや紹介者が存在するわけです。
このように馴染みのない仕組みだからこそ、多くの方は「詐欺だ」「怪しい」と思うのでしょう。
実際に筆者も実際にオフショア投資を行っていますが、これまで詐欺にあったことなどはありません。
個人的にはオフショア地域に本拠を置くことで、税金等が抑えられ結果として私たちの利回りも高水準を維持できるため効率的な資産運用ができていると認識しています。
ただ繰り返しになりますが、海外への投資は為替リスク以外にも政治的なリスクなど、国内に投資するよりもリスクが多いことは事実です。
大切なことは、そのリスクを自分が許容できるのか、にかかっているのでしょう。
なおオフショア投資についてさらに詳しく知りたい方は、以下のお問い合わせフォームよりメッセージを送ってください。
メッセージを送って頂くと私にメールが届き、やり取りすることが可能です。