サンライフ(Sun Life)香港は、カナダに本社を置くサンライフ・フィナンシャルのグループ会社。
設立は1865年と歴史のある保険会社で、大手格付け会社からも格付けを得ており、信頼度の高い保険会社です。
しかし海外の保険会社ということもあり、「怪しいのでは?」「契約後のアフターフォローはしっかりされるのか?」など心配する声も上がっています。
そこで本記事では、投資銀行時代に実際に香港に駐在していた筆者が、現地で得た情報をもとにリスクやデメリットについても詳しく解説していきたいと思います。
サンライフ(Sun Life)香港の会社概要
冒頭でもお伝えしたとおり、サンライフ(Sun Life)香港とは、カナダに本社を置くサンライフ・ファイナンシャルグループの一社です。
ここではサンライフ本体の会社概要をお伝えしていきます。
会社名 | Sun Life (サンライフ) |
---|---|
本社 | カナダ・トロント |
設立 | 1865年 |
運用資産 | 3469億カナダドル 日本円で約30兆円 |
格付け | A.M.Best社:A+ S&P:AA- ムーディーズ:Aa3 |
上場証券取引所 | トロント証券取引所 ニューヨーク証券取引所 フィリピン証券取引所 |
事業展開 | カナダ アメリカ フィリピン 香港 計23カ国 |
設立は1865年と日本の江戸時代創業の大変歴史のある保険会社です。
運用資産も日本円で約30兆円と、東京海上日動が約25兆円、MS&ADインシュアランスグループホールディングが約23兆円ですので、これらの保険会社を上回ります。
さらに保険会社専門の格付け機関であるA.M.Best社からA+、大手格付け会社S&PからAA-、ムーディーズからAa3と申し分のない格付けを得ています。
引用:公式サイト
格付けについても日本の大手保険会社と遜色なく、信頼度に関しては申し分ないといえるでしょう。
また海外展開も積極的で、2021年現在23カ国に事業展開をしています。中でもフィリピンに進出していることが特徴的で、現地の証券取引所にも上場を果たしています。
フィリピンはアジアの中でも経済発展が著しく、人口構成も20代や30代の方多いため今後もさらなる発展が期待できるといわれています。
このような状況のフィリピンに目を付け、進出まで果たしているサンライフ社は常に先頭を切ってを走る保険会社であることが伺えます。
なお日本人がサンライフの保険に加入する際、窓口となるのは本社のあるカナダではなく香港のオフィスです。代表商品はこの2つ
サンライフ(Sun Life)香港の扱う商品は複数用意されていますが、ここでは日本人に人気のある「Life Brilliance」と「Victory」を紹介していきます。
Life Brilliance
Life Brillianceの商品概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
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商品の仕組み | 終身保障付き生命保険 |
運用利回り | 年4~5% |
死亡保障額 | 15,000米ドル〜 120,000香港ドル〜 105,000人民元〜 |
被保険者加入年齢 | 0〜65歳 |
積立期間 | 5、10、15、20年 |
保障期間 | 被保険者が100歳になるまで |
支払い頻度 | 月払い 半年払い 年払い 一括 |
支払い方法 | クレジットカード 香港の銀行から引き落とし 海外送金 小切手 |
減額・解約 | いつでも可能 |
積立停止 | 不可 |
健康診断の要否 | 条件による |
Life Brillianceは貯蓄性の生命保険のため、死亡保障に加えて運用益が期待できます。
つまり「掛け捨て保険」ではないため、支払った保険料は無駄にならないということですね。
日本の貯蓄性保険に比べると条件面は圧倒的で、20年間運用をし続ければ支払保険料がおよそ2倍に膨らみます。
これこそオフショア投資ならではの特徴ですね。
加えてLife Brillianceの特徴は、死亡保険金の上限が無い点です。
一般的な生命保険といえば、死亡保険金が〇〇万円、など契約時に決めることがほとんどです。
しかしLife Brilliancen場合は、長期で運用するほど複利効果も相まって資産を膨らまし続けることができます。
解約返戻金の損益分岐点は、契約開始からおよそ12年ほど。
また物価の上昇による保険金額の評価損を帳消しにする仕組みが組み込まれており、インフレになればそれに応じて評価益も増加させてくれます。
なお減額や解約はいつでも可能ですが、積立の停止は原則不可となっており、支払い期限の31日以内に保険金が支払われないと、最悪の場合強制解約となる点に注意が必要です。
Victory
Victoryの商品概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
商品の仕組み | 年金保険 学資保険 |
運用利回り | 年4~5% |
運用方針 | 債券と株式で バランス運用 |
運用通貨 | 米ドル |
被保険者加入年齢 | 0〜65歳 |
積立期間 | 5、10年、一括 |
年齢制限 | 80歳まで 5年払いは70歳 10年払いは65歳 |
運用期間 | 120歳まで |
支払い頻度 | 月払い 半年払い 年払い 一括 |
支払い方法 | クレジットカード 香港の銀行から引き落とし 海外送金 小切手 |
減額・解約 | いつでも可能 |
積立停止 | 不可 |
健康診断の要否 | 不要 |
Victoryは年金保険や学資保険としての性質を持ちます。
運用利回りはざっくりですが年4~5%で運用され、固定金利で安定運用が期待できる債券と、変動金利で大きなリターンが期待できる株式を合わせて運用されます。
Victoryの特徴は大きく2つで、1つ目は運用期間が最大120歳までと、約15年間加入し続ければ元本確保される点です。
まず運用期間は被保険者が120歳までですが、日本人の平均寿命が約84歳であるため、それを大きく上回る期間の契約が可能です。
ただし120歳まで生きることはあまり現実的ではありません。実はここがVictoryのポイントで、契約期間中に契約者と被保険者を入れ替えることが可能です。
たとえば契約者が現在50歳、子どもが20歳の場合、この時点で契約者を子どもに変更して保険を引き継ぐことができます。
日本の保険商品では、契約途中で契約者と被保険者を入れ替えることは原則不可能です。この点はVictoryの特徴の1つでしょう。
さらにVictoryは15年加入を継続できれば、サンライフ社側が元本確保を約束してくれます。15年加入が条件ですので、10年で運用を止めてしまうと元本確保がされなくなる点に注意が必要です。
なお一部引き出しも可能なため、必要に応じてお金を引き出しながら運用をし続けることができる点は、契約者の負担を緩和してくれます。
サンライフ(Sun Life)香港の契約方法は?
サンライフ香港は、海外の保険会社であるため、基本的に日本国内で契約を交わすことができません。
そのため現地に行って、商品を取り扱う代理店やIFAを通じて契約することが基本です。
なおこの時、香港の金融当局に認可を受けた代理店やIFAと契約を交わす必要があります。
無許可で勧誘をしている代理店やIFAを見極める必要があるということですね。
加えて日本語対応をしてくれる代理店やIFAであることもポイントです。特に保険商品は長期かつ、契約内容も複雑なため、条件変更等が必要な時は日本語で対応しれもらえる方が安心ですよね。
では具体的にどのようにサンライフ香港の保険に加入をするかというと、香港当局に認可を受けた代理店やIFAとパイプがある日本の法人等に紹介してもらうことが一般的です。
図にすると以下のようなイメージとなります。
なお契約時には、パスポート、香港入境証明書、住所証明書、支払に関する書類、契約者のマイナンバー、受益者のパスポート運転免許証のコピー等が必要になります。
筆者も投資銀行時代に香港駐在経験があり、サンライフ香港の担当者と繋がりもあるため代理店やIFAの方にお繋ぎすることは可能です。
その他、サンライフ香港について気になることがありましたら、以下の問い合わせフォームより気軽にお問い合わせください。
サンライフ(Sun Life)香港のデメリットは?
ここまで見ていると、サンライフ(Sun Life)香港は日本の保険会社にはない特徴や、利回りも高いなどメリットばかりに注目が集まります。
しかし保険商品とはいえ、一種の投資商品でもあるため当然リスクやデメリットも存在します。
ではサンライフ香港の保険商品のデメリットを見ていきます。
◆サンライフ香港のデメリット
- 早期解約は元本割れする
- 為替リスクがある
- 紹介者が詐欺の可能性がある
サンライフ香港のどの商品でもいえることですが、早期で解約すると元本割れを起こす可能性があります。特に契約から2年以内に解約してしまうと、解約返戻金が0ということもあります。
またVictoryは「元本確保」という特徴がありましたが、この元本確保は15年加入を継続することが条件です。
つまり途中で解約してしまうと、元本確保がされなくなってしまう点に注意しましょう。
続いてサンライフ香港の保険商品は、外貨建てで運用するため常に為替リスクがあることを理解しておく必要があります。
たとえば15年間の積立時の平均為替レートが1米ドル=110円で、満期で受け取り時の為替レートが1米ドル=100円の場合は、1米ドルあたり10円の為替差損が発生してしまいます。
つまり積立時よりも、満期で換金時の為替レートが円高になると保険金を大きく減らしてしまう可能性があるのです。
最後にサンライフ香港の契約方法として、香港の代理店やIFAとパイプがある方に紹介してもらうことをお伝えしましたが、この案件に乗っかり詐欺行為を行う方が一部いらっしゃいます。
彼らにとっては、日本人がなかなか契約できない保険商品であることをぶら下げ、こちら側に歩み寄ってきます。
中には「サンライフ香港の代理店やIFAに繋ぐから、手数料として契約時に10%の紹介料を頂きます」という事例もあるそうです。
しかしサンライフ香港の契約に際し、紹介者が手数料を取ることはありませんし、仮にそのようなことをしているのでしたら完全に違法行為です。
紹介者の見極めには注意が必要ということですね。
なおサンライフ香港などのオフショア投資において、詐欺に遭わない方法について別ページで詳しく書いています。投資をする前にチェックしてみてください。
>>オフショア投資(海外投資)の詐欺手口とは? 3つの事例を基に詐欺に遭わない方法を解説
まとめ
サンライフ香港は、日本の保険商品に比べて条件面では優れた点が多いです。
これには日本の金融規制がされない点が挙げられますが、同時に海外保険ということもあり、これに関連した詐欺に注意が必要です。
実際にサンライフ香港の現地の担当者もおっしゃっていましたが、日本でサンライフ香港に関する詐欺事例も報告されているということでした。
ただ改めてになりますが、サンライフ香港の保険商品自体に違法性はありません。
さらに「自ら臨んで契約する」場合は、どのような投資をしようと自由です。
それでも投資案件であることから、しっかりとリスクを踏まえてから契約をしましょう。投資はあくまで自己責任で、内容を理解しないまま契約をすることは避けた方がいいですね。